廃ビルで登場した黒いセーターの女性、彼女が黒幕なのかそれとも別の事情があるのか。海翔くんに刃物を突きつける手つきが冷徹すぎて怖いです。金銭の受け渡しシーンから裏社会の匂いがプンプン。『四十歳、離婚してからが人生の絶頂』のような人間ドラマも好きですが、こういう緊迫した展開もネットショートアプリならではの魅力ですね。
海翔くんの無防備な姿が痛々しい。最初は楽しそうに話していたのに、気づけば監禁状態。女子の必死な電話と、彼の苦悶の表情が交互に映し出される編集が秀逸。『四十歳、離婚してからが人生の絶頂』で描かれる大人の葛藤とは対照的に、若者の純粋さが利用される構図が胸を打ちます。ネットショートアプリの短編は感情移入が早くて最高。
女子が受け取ったメッセージ『廃ビルの位置が分かりました』の一文で物語が急転直下。テクノロジーが救世主にもなるし、危険を招くこともある。彼女の震える指と固い決意が印象的。『四十歳、離婚してからが人生の絶頂』でもスマホが重要な役割を果たしていましたが、現代劇における通信機器の描写はネットショートアプリが特に上手いと感じます。
薄暗い廃ビル、タイヤや段ボールが散乱するセットがリアル。海翔くんを縛り上げる男たちの手際がプロフェッショナルすぎてゾッとします。黒いセーターの女の冷笑が全てを物語っているよう。『四十歳、離婚してからが人生の絶頂』のような温かい物語も好きですが、こういうダークな世界観もネットショートアプリで堪能できるのが嬉しい。
最初は慌てふためいていた女子が、次第に冷静さを取り戻していく過程が素晴らしい。涙をこらえながら電話をかける姿に涙腺崩壊。彼女が何を犠牲にしてでも海翔くんを救おうとする覚悟が伝わってきます。『四十歳、離婚してからが人生の絶頂』で描かれる女性の強さと通じるものがあり、ネットショートアプリの作品はどれもキャラクター造形が深いです。