ベッドに座る彼女の不安げな瞳と、電話を握る彼の複雑な心境。会話がないのに、二人の関係性の危うさが伝わってくる演出が素晴らしいです。特に、彼が窓際へ歩き去る背影と、彼女がそれを追う視線のカット割りが秀逸。『彼と彼と彼女』は、こうした沈黙のドラマチックさを得意としているようで、観ているこちらも息を呑むような展開でした。
病院を出た彼が向かった先は、夜の駐車場。そこで待ち構えていたのは黒塗りの車と、冷ややかな表情の男たち。赤いフェラーリを囲む群衆との対比が、この世界の階級社会を浮き彫りにしています。『彼と彼と彼女』の世界観は、華やかさの裏に潜む危険な香りがたまらなく魅力的。次の展開が気になって仕方ない、そんな中毒性のある作品です。
ベージュのスーツを着た青年と、黒い車から現れた男との対峙。言葉は交わされなくても、その眼差しだけで火花が散っているようです。『彼と彼と彼女』は、こうした男性同士の熾烈な駆け引きを描くのが上手ですね。病院の静けさと、外の喧騒のコントラストも効果的で、物語のスケール感を広げています。
ストライプのパジャマを着た彼女は、病室という閉鎖空間で一人、不安を抱えています。彼が電話に出ている間、彼女の表情が微かに揺れる描写が切ない。『彼と彼と彼女』は、女性の繊細な心理描写にも定評があり、観る者の心に深く響きます。彼女がこれからどうなるのか、心配でたまらない気持ちになりました。
彼が手にしたスマートフォンに表示された名前。それだけで空気が一変する演出が、現代劇ならではのサスペンスを生み出しています。『彼と彼と彼女』は、日常の些細な出来事をドラマチックに昇華させる力があって、見応え抜群。電話を切った後の彼の足取りが重く見えるのも、演技力の賜物でしょう。