オフィスでの二人の掛け合いが最高に面白い。最初はパソコン画面を覗き込んで笑っていたのに、急に空気が変わって指を指すシーン。あの捲し立てるような口調と、眼鏡をかけた男性の動揺した表情の対比がたまらない。日常の中に潜むドラマチックな展開に、思わず画面に引き込まれてしまった。
赤い壁の廊下を歩くシーン、足音だけが響いて緊迫感が半端ない。黒スーツの男性と警備員に囲まれた時の女性の表情、恐怖よりも覚悟を感じさせるのが凄い。『始まりは君のワナ』の世界観がここで一気に深まる。閉鎖空間での心理戦が、映像の隅々まで行き渡っていて息を呑む。
最後に辿り着いた青い照明の部屋、あの幻想的な雰囲気が全てを物語っている。カメラを構える男性と、隣で眠るような女性。危険な香りが漂う中で、なぜか安心感もある不思議な空間。このコントラストが『始まりは君のワナ』の核心を突いているようで、目が離せない。
登場人物の服装がそれぞれの立場を語っている。ツイードジャケットの女性は知的で強そうだし、革ジャンの男性は少し反抗的。対照的に黒スーツの男性は無機質で冷たい。『始まりは君のワナ』では、こうした視覚的な要素がセリフ以上に多くの情報を伝えてくれて、見ているだけで楽しい。
机の上に置かれたウサギと宇宙飛行士の置物、あの無邪気な表情が不気味さを増幅させている。日常にあるような小物が、物語の重要な鍵になっている気がする。『始まりは君のワナ』の細部にまでこだわった演出に、作者の意図を感じ取れてワクワクする。